近年ではリフォーム件数が増えている一方で、トラブルの事例も多く報告されています。リフォームトラブルの代表的な事例をいくつか紹介しますので、問題に巻き込まれないためにも事前に把握しておき、トラブルとならないよう対策や準備をしておきましょう。
トラブル① 打ち合わせ時と違う仕上がりになってしまう
「押入れをウォークインクローゼットにするリフォームを依頼したところ、天井高までの扉と思っていたら押し入れまでの高さの扉だった」
「おおよそのイメージを担当者に口頭で伝えたところ、建具が希望と異なる暗い感じの木目だった」
このように打ち合わせで話したイメージと実際の仕上がりにギャップの生じるトラブルはしばしば紹介されています。
特に後者の場合、「きっと相手にも伝わっているだろう」という思い込みが仕上がりの違いの原因という場合もあります。このため、しっかり打ち合わせをしてイメージのすり合わせをすることが大事です。設備などの場合、使用する現物を事前に見ておくことが大切です。リフォーム会社の中には仕上がりイメージをパース図やCGを使って提示してくれるところもあります。また事前調査の際に住宅を図面化しているリフォーム会社もみられますので、このようなトラブルが起きないような対策を万全に行っている、信頼できるところを見つけることです。
トラブル② 契約書なしで起こるトラブル
特に訪問勧誘で見られるのですが、契約書なしでリフォームを行ったところ問題が生じるパターンです。この場合ネックになるのが、補償などの問題です。担当者と口頭で交わしていても契約書がないと、言った言わないの水掛け論になりかねません。契約書として内容を文書に残しておけば、相手も言い逃れはできません。
契約書はきちんと作成してもらって、内容をしっかり確認しましょう。そのうえで署名・捺印をして同意することがトラブル回避するために大切です。契約書なしで工事しようとする、契約書を求めても何かと理由をつけて出してこないリフォーム会社は避けたほうがよいでしょう。
トラブル③ 騒音による近隣トラブル
大がかりなリフォーム工事になると、作業音がどうしても大きくなります。これが近隣住民の迷惑になる可能性があります。この騒音をきっかけにして、近所の方とぎくしゃくするといったことも起こりえます。そこでリフォーム工事をする前には、隣近所を回って工事することと騒音など迷惑をかけることなどをあらかじめ伝えておきましょう。できれば、ちょっとした手土産を持っていくと喜ばれます。
トラブル④ 着工が進まないトラブル
当初の想定よりも着工が遅れる、工期が伸びる、逆に工期が短縮されることもあります。いずれの場合でも施主としては不安が残るでしょう。天候などの影響で着工・工期に影響の出ることはもちろんあります。しかし大方の進捗具合を知るためにも、工程表をリフォーム会社にお願いして提出してもらうことがおすすめです。多少予定から変更されても、いつごろに工事が完了するか、ある程度の推測もできます。
トラブルが起きた際の対処法
リフォームトラブルの中でもしばしば報告されているのが、訪問販売の事例です。「無料で点検します」と家に上がり込み「シロアリに食われている」などといって、即決を迫るパターンは少なくありません。リフォーム工事は高額ですからその場で契約をしないことが大切です。
万が一契約してしまったあとに不正などに気づいた場合には、クーリング・オフが活用できます。このような訪問販売の場合、契約してから8日以内であればクーリング・オフが適用できます。先方の同意なしでも解約ができるので、対処法に困った場合には検討してみることがおすすめです。
ちなみに8日を超えている場合でもリフォーム会社が工事に関してうその説明をしていた場合、特定商取引法や消費者契約法に基づき契約の取り消しが可能な場合もありますので、専門機関へ問い合わせをしてみましょう。
リフォームトラブルに遭ってしまったときに活用すべき機関
リフォームに関するトラブルに巻き込まれてしまった場合は、以下の機関に連絡・相談をしてみることがおすすめです。
住宅リフォーム紛争処理支援センター
公益財団法人の運営する住宅専門の相談窓口で通称「住まいるダイヤル」と言います。国土交通大臣の指定を受けていて、トラブルや紛争解決のほかにも見積もりのチェックに関するアドバイスを行っています。
日本建築士事務所協会連合会
こちらでは主に連合会会員となっている建築事務所に関する苦情やトラブル相談に対応しています。
日本建築家協会
日本建築家協会には建築相談室を設けています。協会に所属する建築家がリフォームをはじめとした住宅に関する全般的な相談に乗ってくれます。日本全国に支部があります。
国民生活センター
消費生活全般に相談や苦情を受け付けている窓口です。もちろんその中には住宅に関する相談も含まれます。
リフォーム希望者が増えるにつれ、トラブルも年々増加傾向にあります。国民生活センターによると2013年度1月末の時点で1万153件の相談が寄せられています。2011年度全体で1万3497件でしたから、決して珍しい話ではないです。もしもトラブルに巻き込まれたら、どのように対処すればいいか頭に入れておいて損はないはずです。