中古住宅の見学には、事前の下調べや準備が必要になることは言うまでもありません。これから住むことになる町や地域について調べるのはもちろんのこと、住宅に関する資料は全て、見学する前に取り寄せておくようにしましょう。それでは、中古住宅を見学する際のチェックポイントと持っていくと便利なものもご紹介します。
中古住宅を見学する際に持っていくと便利なもの
中古住宅を見学する際には、筆記用具だけではなく、以下のようなものを準備して持っていくと便利です。必要に応じて持参するようにしましょう。
図面・コンパス
住宅の図面とコンパスを持って行くようにしましょう。住宅のどの部屋、どの窓がどの方向を向いているかを正確に確認する必要があります。窓の方向に太陽や風を遮る建物や街路樹、電柱などのあり・なしや、将来的にできる見込みがあるかも確認します。図面は家族が各自持参して、自分が気になることを書き込み、後で付き合わせて話し合えるようにしておくと役立ちます。
周辺環境のわかる地図
住宅の周りだけでなく、周辺もわかる大き目の地図があると便利です。駅までの距離や学校やスーパーの位置を確認することができます。離れた場所であっても、大きな建物が建設される予定があると日当たりに影響があるかもしれません。そのような場所がないかも確認します。また、家からは見えない位置にある公園などの公共施設についても知っておくと、住み始めてから不便に感じる要素を減らすことができます。
メジャー
見学で家の中を見るときはメジャーもあると便利です。DIYで使うワンタッチ式のスチール製のメジャーなどがよいでしょう。手の届かない高い場所も測ることができます。窓やドアの大きさ、特に大型の家具を搬入する予定の方は開口部の大きさに注意しましょう。動線に十分なスペースがあるか、実際に動きながら計測します。
カメラ
どんなによく見ているつもりでも、帰宅してからどうだったか思い出せない、あるいは同行していない家族にも見せて相談したいといった場面があるでしょう。カメラは必ず持参して、複数の方向から撮影しましょう。懐中電灯で押入れの隅や天井など昼間でも薄暗い場所を照らして撮影をします。また、住宅の外観や室内の天井など高い場所の観察に双眼鏡があると便利です。
室内のチェックポイント
室内を見学する際には、間取りや広さだけではなく、これから快適に住める家であるかをチェックしましょう。入念にチェックをすることで購入してから必要になるリフォームなども検討がしやすくなります。
床のチェック方法
床が水平かどうか確かめるために、ビー玉や小さなボールを持って行くと良いでしょう。床の修繕は根本的な解決がしづらいトラブルのひとつです。ボールがまったく動かない物件は少なく、多少は動くものですが、ゆっくり動き始めて急に勢いがついて転がり始めるような場合は要注意です。
窓周辺のチェック方法
窓周辺のカビは慢性的な結露が考えられます。窓自体は新しくリフォームできますが、壁の内側まで結露しているものは腐食が考えられます。押入れのカビの痕や、漏水の痕がないかにも注意します。懐中電灯ですみずみまで照らして確認しましょう。浴室や脱衣所の壁や天井、洗面台の物入れ、トイレなども要注意です。カビは一度内部に侵入すると完全に取り除くことが難しく、住宅の腐食が進む原因になる場合もあります。
壁・天井のチェック方法
壁や天井に亀裂やシミはないかもチェックしましょう。壁に亀裂がある場合、クロスにヒビの入る表面的な亀裂は張替えなどのリフォームで解決できますが、壁自体に亀裂が入ってる場合は注意が必要です。懐中電灯や双眼鏡を使って、壁と天井の隅々まで観察します。また、雨漏りの箇所や他と色の違う場所がないかもチェックが必要です。近くで見ることができない場所なので、気になったことは細かいことでも不動産会社に確認するようにしましょう。
建具・動線のチェック方法
建具のチェックは、実際に動かして確認します。襖やドアの開け閉めがスムーズか、傾きはないかを見ます。玄関を入って台所へ行く、玄関からリビングへ行くなど、実際に家に帰ってきてからの動きを順にやってみたり、脱衣所へ入ってお風呂へ入る、台所からリビングへ行くなど、シーン別に実際に動いて導線を確認します。また、動線にある建具や床、柱などの劣化や汚れ具合はどうでしょうか。
水周りのチェック方法
電気や水道が使えるようなら、台所、トイレ、お風呂で水を流してみましょう。水漏れや蛇口に不具合はないか、水の出は十分かを確認します。
コンセントや照明スイッチのチェック方法
コンセントや照明のスイッチの位置の確認も大切です。実際にどこに家具を置くか、家電を置くかを想定しながらチェックしていきましょう。大きな家具を搬入する予定があるなら、家具の大きさを測っておくと大きさをイメージしやすいです。
外側のチェックポイント
建物全体の強度にも関わる、外壁や基礎、屋根、外構などのチェックも重要です。外壁や基礎にひび割れはないかを必ず確認しましょう。内部のトラブルが表面に出てきているようなひび割れの場合は注意が必要です。素人目にはわかりにくく、判断が難しい場合が多いのですが、換気口などの開口部にひび割れが集中している場合は要注意です。少しでも不安に感じるようであれば、不動産会社に尋ねてみましょう。また、建物自体の強度に不安を感じるようであれば、建築士などの専門家による住宅診断を受けることもできます。
基礎の傾きにも注意が必要です。目で見て明らかに傾いている場合、家の中は基礎以上に傾いている可能性があります。基礎が傾いているからといって、その住宅が安全ではないというわけではありませんが、なぜ傾いているのか、原因を知っておく必要があります。
軒や軒裏も重要なチェックポイントです。軒裏に水のシミや漏水の後がないか双眼鏡で観察します。軒下に鳥や小動物が出入りするような穴がないかも確認します。屋根裏を見ることのできる構造であれば、自分で屋根裏を確認できれば安心です。
玄関口までのアプローチや駐車場の確認は、ひび割れや汚れだけでなく、水が溜まりやすい構造になっていないか、水はけはどうか、駐車場から外へ出る時の見晴らしや外から駐車場へ車を入れる時の目視のしやすさを確認します。特に小さいお子さんがいらっしゃる場合、外へ出る時のアプローチは重要になります。
周辺状況も確認しよう
周辺状況の確認は、電車やバスの公共機関を利用する場合と自家用車を利用する場合、両方を確認します。自家用車を利用する場合は、道幅や学童の通学路か、危ない交差点はないかを確認します。公共交通機関を利用する場合、駅やバス停からの所要時間はわかっても、周辺の状況は歩いてみなければわからないものです。人通りや街灯の有無、交通量、自転車の利用が多いか少ないか、自転車を利用する家族がいる場合は駐輪場の様子も確認します。お子さんが通学路に利用する道路は特に重要です。
また、ハザードマップで、地盤や浸水・地震の時の状況も確認しておきましょう。雨の日に見学すると、住宅の周辺の道路などで、水たまりのできやすい場所や水はけの悪い場所を確認することができます。その他、郵便局や銀行などの施設やスーパー、コンビニ、病院までの距離や行きやすさも重要になります。地図を見ながら住宅の周辺を実際に歩いて、周辺の状況を確認しましょう。昼間だけでなく、朝夕の通勤時間や夜の状況もチェックしておくと安心です。時間や曜日を変えて町の様子をチェックすることも有効です。
中古住宅はチェックしておかなければならないポイントが多くあり、ほとんどが物件に実際に足を運ぶことでしかわからないことです。見学前に下準備をして、自分たちの目で見て、触って、動かして確認しましょう。気になることがあれば、不動産会社や売主に確認するようにします。住宅周辺のことは、一度ではわからないものです。大変なことですが、大きな買い物ですので、慎重すぎるということはありません。時間や曜日を変えて町の様子をチェックするようにしましょう。