住宅を購入した場合、住宅ローン控除を受けることができます。しかし、住宅ローンの控除が対象外となるケースがあるのです。中古住宅を購入した場合において、住宅ローン控除をはじめ、対象外となるケースや控除額の注意点などについて説明します。
住宅ローンの控除とは
政府は中古住宅を利用することを推奨していることもあり、費用面においてのサポートにも力を入れています。そのため、中古住宅の購入やリフォームなどをした場合、住宅控除ができる仕組みができているのです。ただし、中古住宅(新築であっても)の場合、住宅ローンの控除を受けるには条件があります。
住宅ローンの控除の基本的な条件には、次のような点があります。
- 床面積が50平米以上であること
- その建物に住んでいること
- 完成から6ヵ月以内に居住し、その年の12月31日まで継続して居住すること
- 控除を受ける年の年収が3,000万円以下であること
- 住宅ローンの借入期間が10年以上であること
中古住宅の場合、さらに2つの条件があります。
一つは構造による耐久年数の制限です。条件としては、床面積が50平米以上で、築25年以内の耐火建築物(鉄骨、鉄筋コンクリートなどの住宅)であること、また、築20年以内の非耐火建築物(木造、軽量鉄骨造などの住宅)であること、です。つまり、築年数が20年、もしくは25年以内であれば、控除が受けられるということです。
住宅ローンの控除が対象外になるのはどんな場合?
築25年以内の耐火建築物(非耐火建築物であれが築20年以内)であること、が住宅ローン控除を受けられる条件ですから、20年以上経っている場合は、控除の対象外になるということです。
しかし、築25年以上の木造建築や軽量鉄骨でも、以下の3つのうち1つを満たしていれば、控除が受けられるようになりました。
一つは、瑕疵保険に入っている場合です。ただし、耐震基準適合証明書を取得していることが条件になります。二つ目が、住宅性能評価書があり、一定の耐震評価を満たしていることです。構造面や防火面、バリアフリー面など10個の分野において評価され、数値で記載されています。等級1~3であれば、対象となります。三つ目が、耐震基準適合証明書の交付を受けていることです。
また、住宅取得資金の贈与を受けた場合、一定の制約があります。住宅ローン借入額と住宅取得資金の贈与額が住宅の購入金額よりも高い場合、超過した分は、住宅ローン控除の対象外となります。
住宅ローン控除額の注意点
住宅ローン控除額は、年末の借入残高の1%が所得税と住民税から還付されます。上限もあり、控除される期間は10年間という条件もあります。上限額は4,000万円なので、残高が4,000万円以上でも、対象となるのは4,000万円です。もちろん、返済をしていれば残高が減るので、毎年同じ金額が還付されるわけではないので、注意しましょう。
ただし、中古住宅の場合は、上限が2,000万円となることがあります。それは建物価格の消費税に影響されます。消費税が8%に引き上げられた際には、消費税が課税されている住宅は借入残高が4,000万円に引き上げられたことがあります。
住宅ローン控除を受けられるのは、築年数にも関係していましたが、現在では、地震に対する安全性の基準に適合している、という条件を満たしていれば、対象となっています。その見直しが行われたのが、2005年の税制改正によるものでした。このように、制度の見直しが繰り返されているので、きちんと確認をすることが大切です。
住宅ローン控除の適用の受け方
住宅ローン控除は初年度なら確定申告のみで、2年目からは年末調整でも申告することが可能です。
確定申告に必要な書類(確定申告書A書式)、住宅借入金等特別控除額の計算明細書、源泉徴収票、住民票の写し、住宅ローンの年末残高証明書、建物・土地の不動産売買契約書・工事請負書のコピー、建物・土地の登記事項証明書、また中古住宅の場合は、認定長期優良住宅、認定低炭素住宅、一定の耐震基準を満たす証明書、など)を用意します。
これらの書類を確認しながら、確定申告書に記入し提出をします。確定申告は購入・入居した年の翌年1月から3月15日までに行います。還付金は約1ヵ月後に指定口座に振り込まれます。
年末調整も同じ手順で書類に記入し、住宅ローンの年末残高証明書を添付し、期日内に税務署に提出します。必要書類は、給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書等、住宅ローンの年末残高証明書、です。給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書は、確定申告後、税務署から送られてきます。2年目から10年目の控除の手続きをする書類としてまとめて送られてくるので紛失には注意しましょう。
住宅ローン控除は条件を満たしていれば受けられるものなので、ぜひ活用したいものです。ただし、制約や中古住宅における条件などもあり、また、税制改革などによって見直しがあったりすることもあるので、自分の物件についての控除額などをしっかりと把握することが必要です。